夜中に酔って、怪我して救急搬送されたらいくらかかる?
こんにちは。そうとう具体的なタイトルですが、これよくある話。
患者さんにもこれくらいかかるよ!とよく説明するので、今回はその話をしようと思います。
いくらかかるかは診察代+処置代+検査代が主ですのでこれらについて見ていきましょう。
受診+診察にかかるお金
救急外来の受診料は、初診料+時間外/休日加算できまります。
初診料は2820円、再診料は720円。これはいつでも変わりません。
<加算について>
- 時間外加算(8:00より前・18:00より後、土曜は8:00より前・正午移行)・・・800円
- 休日加算(日・祝日・年末年始)・・・2500円
- 深夜加算(22:00-6:00)・・・4800円
ですのでまとめるとこんな感じになります。
圧倒的に深夜加算が高いですね。受診だけで初診料と合わせて7620円です。
夜、お酒を飲んで、すでに22時を超えているなんでことはよくあります。そしてあやまって階段から転落したり、路上で転倒したり。酔っていると受け身や防御反応が遅れますので大体顔面や頭部に傷をつくります。そして、流血したり、血があまり出てなくても泥酔してれば平和な日本では周りの人が救急車を呼んでくれ医療機関に搬送されるわけですね。
傷の処置にかかるお金
縫合処置(一般には創傷処理)について
1.筋肉・臓器に達する5cm未満の傷 12500円
2.筋肉・臓器に達する5cm以上10cm未満の傷 16800円
3.筋肉・臓器に達する10cm以上の傷 20000円
※全身麻酔で20cm以上の傷を処置したら71700円
4.筋肉・臓器に達しない5cm未満の傷 4700円
5.筋肉・臓器に達しない5cm以上10cm未満の傷 8500円
6.筋肉・臓器に達しない10cm以上の傷 13200円
A.真皮縫合加算 4600円
B.デブリードマン加算 1000円
です。
真皮縫合というのは吸収される糸で、糸の結び目がでないように縫う方法です。深い傷にはやることしばしば。私も頭の傷の場合、基本的にはこれをしますね。
デブリードマンというのは汚い傷を処置するとき、そこをあえて取り除くことを言います。膿んでいる傷とか、傷口の感染があるときに私はやりますけど、他科の先生はどうでしょうか?私個人はそんなに外来ではやりません。
そして小児では、
小児(6歳未満)縫合処置について
1.筋肉・臓器に達する2.5cm未満の傷 12500円
2.筋肉・臓器に達する2.5cm以上5cm未満の傷 14000円
3.筋肉・臓器に達する5cm以上10cm未満の傷 18500円
4.筋肉・臓器に達する10cm以上の傷 28600円
※全身麻酔で20cm以上の傷を処置したら71700円
5.筋肉・臓器に達しない2.5cm未満の傷 4500円
6.筋肉・臓器に達しない2.5cm以上5cm未満の傷 5000円
7.筋肉・臓器に達しない5cm以上10cm未満の傷 9500円
8.筋肉・臓器に達しない10cm以上の傷 14500円
A.真皮縫合加算 4600円
B.デブリードマン加算 1000円
と、すこし値段体系が変わります。
画像検査が追加されることも多い
これはよくあるでしょう。酔っているヒトはアルコールで痛みの感覚が鈍くなっており、自然と我々も検査の閾値が下がります。泥酔しているヒトでは診察から得られる情報が少なくなってしまいますし、受診翌日に他の痛みに気づくなんでことがよくあることです。
画像検査代については下記をご参照ください。
ということで、
実際の例を出しながらコストがいくらになるか計算してみましょう。
例)
48歳男性、会社の同僚と19時から居酒屋で飲酒、その後帰宅途中に駅の改札を出た後階段から転落。頭部から流血し、泥酔していたため22:30救急搬送となった。
診察上、額に6cm大の裂創があり、頭蓋骨が見える深さだった。
頭部CTも行った。
尚、搬送された病院は放射線科医がいない、64列CT所持とします。
こんな状況ですと、
- 初診料2820円
- 深夜加算4800円
- 創処置代は傷の長さと手技的に骨膜などの修復をしたとします。埋没縫合込みになるので16800円+真皮縫合加算4600円
- 頭部CT代(検査代10000円、コンピューター断層診断料4500円、電子処理加算料1200円)
いう具合で、44720円…の3割なら13,416円ですね。
これにおそらく、抗生物質の処方があったり、処置のときに使用した物品のコストなんかも加わると思います。
いかがでしょうか。
もう1日飲みにいける金額ですよね。
最後までありがとうございました。
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