脳外科医もつの日常

30代、中堅?脳神経外科医の日々のつぶやき。医療、プライベート、趣味など気ままに書いていきます。

コードブルー第3話〜研究者の目線で〜

帰省していたので、ゆっくりみることができました、コードブルー第3話。

 

 

 

例のごとくネタバレになりますので、みたくない人はここまでにしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みますか?では始めます。

 

 

 

 

個人的に気になったのは小脳血管芽腫の女の子

 

あれだけ大きいと、あんな滑らかにピアノできるのかなぁーとか、若い人の血管芽腫なので遺伝性の病気は大丈夫なのかなぁーなど、少しモヤモヤしました。

 

ちなみに遺伝性の病気はフォンヒッペルリンドウ病です。

 

人の名前が付いた病気の中で最も大変なものの1つだと私は思います。

 

私の患者さんにも過去にいましたが。

 

ドラマの中のあの女の子もこれからどうなるか、次回以降の付箋ですよね!楽しみにしたいと思います。

 

 

さて、シアン化合物を飲んで自殺しようとした研究者の人が登場しました。

 

 

研究が、先を越されてうまくいかなくなった…というのが理由ですよね。

 

 

私も研究をやってる身分ですが、

 

 

すごく気持ちがわかります。

 

 

 

いや、ほんと。

 

 

基礎研究は立ち上げてから結果出るまで3年以上かかるのが普通です!

 

 

ですから、それが他の人に先を越されてしまうのは

 

今までの自分の時間はなんだったんだろう…ってなるわけです。

 

 

とくに、外部から援助を受けて研究してたりとか、プレッシャーありますよね。

 

 

研究はお金がなければできません。

 

1つの試薬で8-10万なんて普通です。

しかもそれ20回くらいしか使えなかったり。

 

 

研究費をもらえなくて、鬱っぽくなったり、露頭に迷うような人を私も知ってます。

 

 

研究者の世界とは色々とシビアなんです。

 

 

 

そのぶん、結果が出た時はとても嬉しいものですよ。

 

 

「この結果は世界中で自分しかしらない!」ってなるわけなので。

 

 

知的感動など得られるものもたくさんあります。

 

 

ですから、こういった見方もあるんだぞということで、少しでも伝われば幸いです。

 

 

博士号を取るだけのために大学院に行く人が医師の中には多いのですが、研究することでわかることもたくさんありますし、臨床の仕事を客観的に見ることも前よりできるようになります。何より論理的思考や、壁に当たった時の修正方法など…この辺はスポーツのスランプに似てますかね??

 

 

やや、好き勝手に今回は記事を書いてしまいましたけど。

 

 

 

そんな感じで今回は締めたいと思います。

 

 

 

最後までお付き合いくださりありがとうございます。

コードブルー、次回も楽しみにしたいと思います。

 

こんな記事も書いています。

 

motsutaro.hatenablog.com

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脳出血で失明した人の話

眼に問題がなくても、視神経が正常でも、目が見えなくなることが脳の病気ではあります。

 

 

 

それは後頭葉という部分が傷んでしまった場合です。

「後頭」と書くくらいなのでもちろん後頭部の方です。

 

ここは視野をつかさどるところです。

 

よく、頭の病気は症状の出ている方と反対側に病気があるといいますね。

後頭葉もそれがいえます。右の後頭葉が傷んでしまうと左側の視野が欠けてしまいます。

 

心原性脳塞栓症という病気を例にとりましょつ。

 

これは心房細動という不整脈が原因になることが多いのですが、この病気で後頭葉に血液を送る血管が根元からつまってしまうと、後頭葉の全域が脳梗塞となってしまい、結果、片側の視野が欠けてしまうということになります。

 

後頭葉全域の脳梗塞では、ちょうど左右両方のメガネの左半分を黒く塗った状態でものを見るような状況になります。

 

 

もう、お気づきだと思いますが、これが左右両方の脳梗塞になると視野全体がダメになってしまうというわけです。

 

正確には中心視野は保たれることもありますがここではその理屈は割愛します。

 

 

 

そんな左右両方の後頭葉がつまることなんて………いや、あるんです、たまに。

 

実際は脳梗塞の方が経験が多いのですが、今回は脳出血の話です。

 

 

脳出血で、そんな状況になることは実はあまりありません。

 

脳出血の一番の原因は高血圧です。脳出血全体のうち7割は高血圧性脳出血と言われるくらいです。ところが、高血圧が無くても脳出血を繰り返すことがあるのです。

 

それは、アミロイドアンギオパチー(またはアミロイド血管症)という病気。

 

アミロイドというタンパク質が脳に沈着し、血管が脆くなることで脳出血を繰り返してしまうのです。

 

特に脳皮質下出血という脳の表面に近いところに起こります。

 

 

 

 

私が研修医のころ、左の後頭葉脳皮質下出血で入院したおじいさんがいました。非常に気さくな方でしたが、高血圧の管理が今ひとつで入院した時の血圧も高く、高血圧性脳出血として治療をしました。もちろんアミロイド血管症の可能性もあると説明して。

 

右側の視野障害同名半盲と言います)が後遺しましたが、元気に退院していきました。

 

 

しかし、それからしばらくして今度は反対側の後頭葉脳出血を起こしてしまったのです。

 

薬をしっかり飲んでいたので血圧は高くなかったのですが、また起こってしまいました。

 

アミロイド血管症なのでしょう。

 

 

結果、全盲となってしまいました。

 

 

明るかったその男性はひどく落ち込み(もっともだと思います)、会うたびに言うのが、

 

孫の顔が見れなくなってしまったと。

 

 

私も胸が締め付けられる思いでした。

 

 

この病気は残念ながら効果的な治療がありません。

 

二度、三度と脳出血を繰り返し、脳の半分以上が破壊されて廃人のようになってしまう人もいます。

 

そして、この原因のアミロイドはアルツハイマー認知症の原因にもなります。

 

 

 

実は、アミロイド血管症はMRIでわかる部分があります。

 

微小脳出血という小さな出血が脳の皮質にあると、その疑いがあるといえます。

T2✳︎(ティー ツー スター)というMRIの撮影条件で検出できますので、もし若くして微小脳出血を指摘された方は要注意です。

 

 

因みに、微小脳出血はそれが脳の深部にあると高血圧性脳出血、脳の皮質にあるとアミロイド血管症やアルツハイマー認知症のリスクと言われています。

 

興味のある方は他の方のホームページなとでもっと詳しくでていますのでご参照ください。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

 

 

シャツは素肌の上に着るものなの!?

暑い…暑いですね。

仕事柄スーツを着ることは学会や冠婚葬祭くらいしかないため、実は半袖シャツを持ってなかったのですが、ようやく本日購入しました。

 

オックスフォード生地の半袖です!

 

なんで?となる訳ですが、理由をこれからくどくど申し上げますと、

 

 

実は私、これまでシャツの下には下着を着るものだと思っていました。事実、日本のビジネスパーソンでシャツの下は何も着ない…という人は5%程度らしいです。

 

シャツの下に肌着を着る人の理由としては、

「肌がすける」

「下着は汗を吸ってくれる」

だそうです。

 

因みに、1番着られているのはVネックの下着で、

「第1ボタンを外しても下着が見えない」

「丸首はダサい」

という理由が多いようです。

 

 

しかしながら、国際的な基準によると、ビジネスシャツは下着として扱われているのだそうで、つまり我々の多くは下着の下に下着を着ているということになってしまいます…。

下着の下には何も着ないのがマナーという…。

 

そして、そもそも透けない色、透けない生地、シームレスのものを選ぶべきのようで

 

 

ホントなーんも知りませんでした……

 

 

とにかく、そういう理由から、今回は国際基準にそって(ほんとはなるべく下着を着たくないだけ)オックスフォード生地の半袖を買ったというわけです!

 

 

 

まぁ、普段シャツを着ないfar from ビジネスパーソンな私がそんなことをしても、

 

「こいつ、シャツの下素肌かよー!」

 

となりそうです。

そもそも同業者は前述のシャツのマナーなんかしらないでしょうし。

 

連日のオチのない話でありました。

 

ほんと、この職業はスーツを着ません。白衣を着てしまえば下は意外となんでもありです。コードブルーなどテレビの影響でスクラブという手術着みたいなものを着ている人も多いです。

 

最近では、病院のドクターのユニフォームでスクラブを用意しているところも増えました。私が初期研修した病院も私が卒後1年目のときからスクラブが基本になりましたので、現在はもっと顕著なのでしょう。

 

 

さっそく明後日の東京のセミナーで新品のシャツを着たいと思います。

 

ということで、

・シャツは下着だよ。シャツの下に下着をきるのはマナー違反だよ。

・医師はあまりスーツ着ないよ。

という話でした。

 

 

 

(今回もオチがなく、読んでくれる人がいるのだろうかと不安です。でもこれ以上話を膨らますことができない…。)

 

 

 

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

学会参加と家庭とのはざまで

こんにちは。

ブログを初めて10日あまりですが、徐々にアクセス数が増えてきました。

ありがとうございます。

 

 

さて、本日は日記にような内容になります。オチはないです。

 

 

今朝、登録している学会から演題が採択されたという連絡がきました。

そしてまた別の学会の演題登録もしました。

こんなことをほぼ毎月やっていまして、月のどこかの週は発表をしています。

秋は学会シーズンなのでほぼ毎週です。

 

一般企業では休日などの出張につきましては、ある程度職場からお金がでると思いますが、我々は案外そうでもないです。

 

学会参加については、交通費、宿泊費、学会参加費、交際費などがかかります。最後の交際費は個人の出費としてしかたないとしても、残りの費用はできるなら払いたくないものです。

 

条件はその病院によって色々で、「年間20万円までは病院から支給」とか「発表しない場合は国内学会に限り2回まで。発表する場合は前額支給」などなど…。

私の職場は一部支給です。

 

例えば、今年の秋の脳神経外科の大きな学会は名古屋で行われますが、

 ・東京〜名古屋 片道10360円

 ・宿泊費 ホテル1泊×日数

 ・学会参加費 1.5万円?くらい

 

ということで、結構かかります。

 

こんなのが年に何回もあると、もう大変です。これだけでなく学会には年会費というものありまして、これがまた1つにつき1万〜1.5万円くらいあります。

 

我々の間では学会貧乏という言葉もあります。

 

学会1つあたり、学会参加関係費+年会費で5−10万円くらいですね。

日本脳腫瘍学会はもっとかかりますが、素性がバレそうなのでこれについては言及しないこととします(笑)

 

さらにシンポジウム、研究会など学会にくらべ小規模のものも含めると、半年分の家賃くらいになるかもしれません。これが国際学会で海外にまで行くとなると倍増です。

 

もちろん多少は補助がでますが。

 

 

 

 

医師と結婚した人が、

「思ったより自由に使えるお金が少ない!休日に外出がなかなかできない」

などど言われますが、まさにその通り。

 

同じ所得の他の職の人に比べ、金銭面、そして時間も少ないのです。

 

確かに、こういう事情を知らずに一緒になると苦労はあるかもしれませんね💦

 

 

でも定年過ぎても大幅に収入が減るということも少ないですし、時間確保は職場や診療科によっていくらか調整はききますので。

 

                言い訳ですけど。

 

 

 

 

 

 

 

学会参加や論文は業績になりますが、

「業績は金にならない」

と言われたらぐうの音もでませんね…ハハハ…(汗)

 

 

 

さて、休日は娘をプールに連れていって、少しでもポイントアップに努めたいと思います。

みなさんも良い週末を。

 

 

 

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒアリにビビるな!〜余計な情報に惑わされないために、伝えたいこと〜

ちまたで話題のヒアリについて今日は書いていきます。

 

 

いろいろと騒がれておりますが…

 

 

えっと・・・・・ですね

 

 

ただの虫刺されですからっ!!!

 

 

だからビビる必要はありません。もうこれで今回のいいたいこと終わりです。

 

ムカデにしてもハチにしても、大事なのがアナフィラキシーショックであって、そうでなければ単なる虫刺されです。

刺されても、ビビらないでください。

 

 

ヒアリ毒によるアナフィラキシーの頻度ですが、あまり文献はないものの10%もないようです。

 

そもそもアナフィラキシーの原因のトップ3として、食べ物が3割、虫刺されが2割、薬が1割の順なんですよね。別に珍しくもなんともない。

 

ヒアリ毒についてですが、

刺されたところの痛みのほか、腫れは1時間以内に膿疱は12時間以内にできるようです。その他、大きな紅斑が数日続いたり、蕁麻疹がでることがあるようです。

 

ハチ毒と交差反応性がありますので、ハチに刺された人がヒアリに刺されるとアナフィラキシーを起こすかもしれません。まあ、ヒアリ自体が何回も刺すようですが。

 

稀に集団で襲うことがあるみたいなので、高齢者や子供はそのへん注意ですかね。

 

と、少しヒアリの恐怖心を煽ることを記載しましたが、もう一度いいますよ。

 

それでもただの虫刺されですっ!!!

 

大事なのはアナフィラキシーが起こるかどうか、そしてその時の対応ですので、そのためにはアナフィラキシーを知ることです。

 

アナフィラキシー症状とは、

①呼吸器症状:くしゃみ、喘鳴(ぜいぜい)、息苦しさ

②皮膚症状:蕁麻疹、かゆみ、発赤

③粘膜症状:唇、まぶた、舌が腫れる

④循環症状:血圧低下(ショック)

⑤消化器症状:下痢、腹痛、嘔吐

 

とくに①呼吸器症状や④循環症状があるときは注意です!

 

虫刺されでいえば、

アナフィラキシーショックが起こるのは、虫に刺されて15分以内がほとんど

・刺された後、1時間経過して何も起こらなければ普通はアナフィラキシーは起きない

のです。

 

ちなみに食物によるアナフィラキシーの場合は消化の関係もありアレルゲン摂取後30分くらいはみておきましょう。

 

刺されたところのケアですが

・冷やす

・鎮痛薬

・膿疱は破らない(無菌だから)

くらいは抑えましょう。(ムカデに刺された人に昔は麻酔とステロイドを混ぜた注射をしていましたが、エビデンスは疑問ですね。塗り薬のステロイドも効果は不明です

 

また、ヒアリを見つけたり、被害にあった場合は最寄りの保健所に連絡しましょうね。

 

 

最後に要点ですが、

ヒアリも虫刺され(くどいですか?笑)

・大事なのはアナフィラキシーの有無

アナフィラキシー症状があるときは医療機関受診を。

 

 

 

まだまだ暑い日はつづき、肌を露出する機会も多いと思います。

そういえば、夏はヒアリも攻撃性が高まるという話も…(最後に恐怖心を煽る?)

でもヒアリの生息地域の人は2人に1人が年に1回くらいは刺されているみたいですよ。(本当かどうかは知りませんが)

 

(余談ですが、ハチに二回目にさされると危ないという情報…2回でも3回でもアナフィラキシーが起こらなければこれもただの虫刺されですからね。)

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

※今回の記事ですが、ヒアリ毒の調べに関しては名古屋掖済会病院様の資料を大変参考にさせていただきました。

コードブルーはじまりましたね!〜現役医師の感想〜

私が若手医師だったときに一世を風靡した人気医療ドラマの続編が始まりました。

 

山ピーは脳外科医ですか。

そんなかっこいい脳神経外科医がいたらいいですよね、うんうん。

 

私も病棟メインでやっていたころは外傷や脳卒中などでよく呼ばれていました。懐かしいです、当時が。

 

で、脳神経外科というと当直では外科系か神経当直(おもに脳卒中系を診る専門当直)であることが多いわけで、特に野戦病院では外科系当直で研修医の先生と重症外傷の診察など行っていまいた。

 

ここからは一部ネタバレになってしまいますので、みたくない人はここでやめてください。

 

 

 

 

一般的に医療系ドラマは我々からするとツッコミどころが多く、

ドラマであった錐体骨髄膜腫のcombined petrosal approach(コンバインド ペトローザル アプローチ)なんていうのは脳外科手術のなかでちゃんとできる人は全国に何人いるんだろうというレベルの超難しい手術法で、「舌下神経管の開放…」なんていうセリフもありましたが、おそらく脳神経外科医で専門医でない先生からすると「what?」というような内容です。山ピーらは非専門医の設定ですから、普通はそんなにわからないんですけど…そこはドラマですからね。いいですね、頭蓋的外科手術がわかる若手、しかもイケメン、実際いたらそりゃあ看護師さんに人気ですわ(嫉妬)

 

で、話は変わりますが

 

屋外で子供にドリルで頭に孔をあけて血を抜く場面がありましたね。これはなかなか頭部CTなしで行うのは勇気がいるなと…。私も、手術室ではなく救急外来で緊急で同様の処置をしたことはありますが。

あれ、ドリル使っていると頭が動いて孔開けにくいので、できればその場にいるフライトナース(比嘉愛未)さんには頭の固定も少ししてもらえると…なんてこれ以上専門的に話すとひきそうですのでこの辺で。

 

しかーっし!!

 

良くない点として、失敗した点滴の針は床に捨ててはいけない!診察や処置、手術はマスクしましょう。太っているからと言って妊婦を見逃してはいけません。そして、研修医の先生も自尊心がありますから、そこを傷つけないようにコミュニケーションをとりながらテンパらないように指導医がフォローするべきですね。まあ、ドラマが進む中で段々とそういうところが改善していくシナリオになりそうですが。

 

いずれにしても、医師も人間でして、マルチタスクはミスの元です。

自分のキャパ以上の仕事を抱えると、どこかに無理が生じてしまいます。

上級医は個々の実力やメンタルなども考慮しながらタスクの適正配分が大事です。

これは医療現場に限らず、その他の管理職の方も同じでしょう。

 

 

 

 

色々と実際の現場との差異はありますが、将来の進路を考えている人や実際の医療系の学生さんにも楽しめるドラマではないでしょうか。

私の周りではガッキー萌えがすごいのですが、あんな人はみたことありません。概して、女医さんは図太いです…ホント。(こんなこと言うと、いつか撃たれそうだな)

 

 

救急医は大事ですが、脳神経外科医や心臓血管外科医は外科系のなかでホントに人手不足甚だしいので、ドラマではぜひ脳外科的なかっこいい場面をつくっていただいて脳外科志望が増えることを制作側には期待したいと思います。(個人的に)

 

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

 

熱中症が流行る時期〜汗をかきにくくなる薬について〜

暑い日が続いています。いかがお過ごしでしょうか。私の家は3DKですが、エアコンが1つしかなく、これ1台で部屋すべてをカバーするのがそもそも無理なのですが、サーキュレーターなどの力を借りながら室内のクーリングに努めています。

 

さて今回は熱中症の多い夏に気をつけたいこと、汗をかきにくくなる薬についてです。

 

効能として汗を抑えるというのではなく、いわゆる副作用での発汗障害ということになります。

私の専門領域ではてんかん片頭痛の患者さんに処方する薬のなかに含まれますが、

 

エクセグラン と トピナ という薬です。

 

これらは両方共抗てんかん薬というものでてんかんの患者さんに使用することが多いのですが、前者はパーキンソン病に、後者は片頭痛にも使用します。

 

両方とも実は副作用に発汗障害があります。

 

患者さんは「体に熱がこもる」というような訴えをされますので、やはり汗をかきにくくなるためではと思います。

 

私はこれらを飲んでいる方には今の時期、熱中症に気をつけるよう念押ししています。

 

そもそもなんで処方するんだと言われそうですが、やはり効くからなんですよね。

てんかん患者さんに関しては、以前まで単剤で処方できる薬としてエクセグランはいろんな先生がよく使用していたでしょうし。(今は他の薬がありますので、第一選択で処方する機会は減りました)

 

ただご高齢の方には注意しています。この2つの薬ですが、食欲がなくなり体重が減ってしまう方がいらっしゃるからです。発汗障害、食欲低下どちらも高齢の方では気をつけなければなりません。

 

しかし、若い方にはこの副作用が逆に好まれることがあるのです。汗をかかなくなる、痩せる(食欲低下により)ということで女性の忍容性が良い印象もあるのです。

 

てんかん薬は、他の薬にくらべ副作用や飲み合わせに気をつけなければなりませんし我々神経系の専門医出ない場合は安易に出すべきではないと思います。(そもそもてんかんの診断は社会的制約を強いるとこになりますので神経の専門医でなければ行うべきではないと考えます。)

副作用に関しては個人差があります。

エクセグランやトピナを使用していても全員が汗をかきにくくなるわけではありません。

 

 

 

 

患者さんのライフスタイルに合わせながら、副作用も味方につける そんなうまい投薬ができれば幸いです。

 

適度な水分摂取と体温管理をしっかりして、自分の健康を守り、暑い夏を乗り切りましょう!!

 

 

※最後に

薬は正しい使い方をしなければ毒です。

とくにてんかんに対して使用する場合は長い付き合いになりますから、発作を抑えることはもちろんですが、副作用で生活の質が下がらないようにしなければなりません。副作用が気になる方は早めに主治医に相談しましょう。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。