脳外科医もつの日常

30代、中堅?脳神経外科医の日々のつぶやき。医療、プライベート、趣味など気ままに書いていきます。

脳神経外科医は年末年始休めるのか

こんにちは。

このところ本業と筋トレが忙しくてすっかりブログを更新せずにいました。

 

さて、多くの病院が本日まででしょうか。

 

連休の病院体制

多くの方は年末年始の休みになります。

しかし、病気に正月休みはありません。

こういった連休では当直や、緊急呼び出しの当番が設定されるわけでありまして、マンパワー不足の科では県外への帰省なんかも大変でしょう。

当然、脳外科医もであります。

緊急性という点で外傷や血管系の病気は入院、そして手術を伴うことも有り、心筋梗塞や大動脈解離などは心臓血管外科や循環器科脳卒中や外傷ではやはり脳神経外科がよばれる頻度が高くなります。

 

脳外科も水頭症や脳ヘルニアという状態を伴わない脳腫瘍症例や予定手術はなくなりますが、どうしても脳卒中はその頻度もさることながら本当によく呼ばれます。

 

そして一度新規の患者さん、とくに手術をした患者さんでは術後の管理のため休日関係なく気にしておくことになります。

 

病院ごとで呼びたしの負担が違うのか

脳卒中センターがあり、脳卒中の内科管理を神経内科と一緒に診ている場合は軽症の脳出血やある程度時間の経った脳梗塞はさほど負担はないかもしれません。しかしながらそれでも病院ごとに住み分けがあったりして、脳出血は全例脳神経外科脳梗塞神経内科…とか。こればっかりはその病院によるかなと思います。

 

また、脳梗塞急性期では血栓回収療法というカテーテル治療を行う頻度も増えました。

これはカテーテル室の手配や、いざ治療を行うとなると1時間程度は少なくともかかります。循環器内科が心筋梗塞カテーテル治療を行うのと大体同じくらいの手間と労力を要します。

で、「なんだ、循環器科と一緒か」と思われそうですが、多くの病院は循環器内科は脳外科の倍以上人がいますので、呼ばれる頻度も少なく(若手はほぼ毎回出動!みたいな体育会系のところもあるようですが)しかも、循環器科には他の手術がありません。

 

この時期さらに我々の負担を増やすのが、帰省時の交通事故や飲酒がらみの頭部外傷です。手術がなくてもしばしば入院となりますし、いざ手術となると、スムーズに行けば2−3時間程度ですが、これが手術中に血が止まりにくくなることがあり、そうなると本当に終わりが見えません。(術中DICといいます。)

 

入院管理、手術や手技ごとの大変さ

<外傷>

交通外傷 内科管理

おもに当直医や救急医が診てくれれば負担は少ないが、外傷性脳出血がある場合は数時間後の頭部CT、翌日の頭部CTの確認が必要となり判読を頼まれることがある

交通外傷 外科治療を要する症例

外傷自体の手術は手技的にさほど大変ではないが、手術中に止血困難になる例では長時間手術になることも。順調なら2−3時間程度。

入院時は手術適応がなくても、その後病状悪化して手術になるケースもある。そういった可能性も含めると結構長い時間の精神的束縛はある

意識障害例では頭蓋内圧センサーをいれることがある。これも手術。30分程度。

 

脳卒中

脳梗塞 超急性期

血栓溶解療法(tPAといいます)適応例やそれができなくても血栓回収療法というカテーテル治療をやることがあり、カテーテル治療は1時間程度はかかる

脳梗塞 内科管理

神経内科がいない、神経内科脳卒中診療を分担していない場合は全例脳外科。これが一番頻度が多い

脳出血 内科管理

神経内科脳卒中診療を分担していない場合は全例脳外科。分担していても脳外科が診るという施設も少なくない

脳出血 手術

開頭手術なら2−3時間は必要と思われる。

クモ膜下出血

内科管理となるケースは少ない。開頭手術なら2−3時間もしくはそれ以上も多い。コイル塞栓術というカテーテル治療ならもう少し手術時間は短い。脳ヘルニアを起こしている症例などを除けば連休明けや夜間に入院となった症例は翌日以降の昼に手術をくむこともある。外傷や通常の脳出血の手術に比べ待機時間に余裕があるケースが多い。

 

<その他>

痙攣、てんかん

発作が止まっても意識が悪い、自宅で様子を見てくれる人がいなければ入院となる。

神経内科や救急で入院をとってくれる病院もある。

脳腫瘍の終末期

在宅、ホスピスなどの手配がなければ入院対応で看取ることになる

 

 

 

ということで、あくまで我々脳神経外科での休日の事情をお話ししました。

世の中は時間外労働を少なくする方向で動いていますし、QOL(Quaility of Life:生活の室)はやはり他の科に比べれ悪いことは(その病院の人数にもよりますが)否定できません。

 

 

また脳外科をオススメできる内容についての話しも書きたいと思います。

 

では。