脳外科医もつの日常

30代、中堅?脳神経外科医の日々のつぶやき。医療、プライベート、趣味など気ままに書いていきます。

筋トレ、栄養学好きの脳外科医がダイエットを語る、その1

今回はダイエットについてです。

 

 

様々なダイエットが横行しておりますが、糖質制限ダイエットに関しては未だに賛否が分かれるところですし、高タンパク質食を追求しすぎて死亡した例もあるようです。、

 

後者はたまたま代謝異常のある方だったみたいですが。

 

 

私が外勤で行っている病院は透析がメインのところでして、そこの腎臓内科の先生からするとプロテインのような高タンパク食は腎臓に負担をかけると言っています。確かにかなりきつく蛋白質を制限すると、そこの患者さんの中には腎機能が良くなる方もいらっしゃいますし、おっしゃることもわかります。

 

そうは行っても私も筋トレをしているのでプロテインはやめられませんが(笑)

 

ライザップの糖質制限については、実際に通っていたわけではないので、そんなに批判をする気はありませんがハイボリュームトレーニングをする場合、糖質を制限してどこまでトレーニング効率が上がるかは疑問です。

短期間で痩せるのが目的ですので、それでもいいのかもしれませんね。

ライザップのようなものがきっかけで栄養に関する知識が増えるのはとても賛成です。栄養に関する知識は一生モノですからね!

 

しかしながら、日本食は糖質がそもそも多いです。煮物にも砂糖を使うことが多いですし、みりんや醤油にも糖質はあるんです。

 

糖質不足でも、体はケトン体というのを作って体を動かす仕組みはあるのですが。

ケトジェニックダイエットをするには結構シビアな糖質制限が必要です。長期間の場合、子供の場合は発達に影響もでるといわれてます。

成長期のお子さんには勧められません。

 

 

ただ、我々脳神経外科ではてんかんの患者さんには治療の一環として糖質制限を勧める場合があります。

ケトン食療法、修正アトキンス療法などと検索していただければ詳しくでてくると思いますので興味ある方は是非。

 

話を戻します。

私も実践していますが、外来の患者さんにはマクロ管理法をお勧めしています。

 

三大栄養素   炭水化物、蛋白質、脂肪のバランスを変える方法です。

 

そもそも筋トレをしている方は、トレーニング後の糖質摂取は筋肉を大きくするのを助けてくれるインスリン分泌には必要ですので、きつい糖質制限はお勧めできません。私もプロテインに蜂蜜など糖質を追加したものも飲んでいます。

 

さて、マクロ管理法ですが

手順1)基礎代謝を図る:

手順2)活動量により必要カロリー量を決める。

手順3)決められたタンパク質、炭水化物、脂質の割合になるように一日摂取する

    ・タンパク質は体重1kgあたり2g

    ・脂質は一日のカロリーの1/4

    ・上記の残りのカロリーを炭水化物でとる

 ※タンパク質、炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalとして各栄養素のグラム数を計算しましょう。

 

ということです。

 

手順1)基礎代謝量計算

基礎代謝厚生労働省の方法、ハリスベネディクトの式などいろいろあります。そんなに変わらないのでどの方法でもかまいません。基礎代謝を計算してくれるホームページを活用するのもいいですね。

 ★私は下記の計算式を好んで使用しています。

  男性 10×体重(kg)+6.25×身長(cm)ー5×年齢(歳)+5

  女性 10×体重(kg)+6.25×身長(cm)ー5×年齢(歳)ー161

SNSで有名なTeststeron氏の著書にも上記で書いてありますね。

 

手順2)一日の消費カロリーおよび目標摂取カロリー計算

厚生労働省日本医師会のHPにもでていますが、年齢により若干変わりますので大まかに、下記で計算すれば少なくとも数字が大きくなりすぎることはないと思います。

 事務仕事をしている人:基礎代謝×1.25−1.5

 けっこう運動している人:基礎代謝×1.5−1.75

 激しく運動している人は基礎代謝基礎代謝×1.75−2.0

くらいでどうでしょうか。

 

摂取カロリー目標につきましては、手順2で計算した消費カロリーに応じて下記のごとく決めます。

  減量 → (消費カロリー計算値)×0.8

  維持 → (消費カロリー計算値)×1.0

  増量 → (消費カロリー計算値)×1.2

 

手順3)マクロ栄養比を計算する

ここは例にとるほうがわかりやすいと思います。

 

例:30歳男性、身長170cm、体重67kg、営業職(活動量はまずまず) ダイエット目的の場合

手順1)

基礎代謝10×67(kg)+6.25×170(cm)ー5×30(歳)+5=1587.5(kcal)

手順2)

消費カロリー目安は1587.5×1.5=2373.75kcal

ダイエット目的のため、2373.75×0.8=1,899kcal(目標カロリー)

手順3)

・タンパク質は体重×2ですので67×2=134g (カロリーは134×4=536kcal)

・脂質は目標カロリーの1/4、つまり475kcal分ですので475÷9=52.7g

・糖質は目標カロリーからタンパク質と脂質のカロリーの引いた分ですので、

   1899ー536475=888kcal グラム数は222

…ということで タンパク質134g、炭水化物222g、脂質52.7gとなるように一日食べでばよいのです。

 

が、結構面倒くさいですね。

しかもこれだと少しカロリーはおおいのかなーという気も実はしていまして、

実際、私は外来ではざっくりとダイエットしたいなら基礎代謝×1〜1.2までにカロリーを抑えるといっています。これだけ説明してなんだよーって感じですね(すいません。)ほかには標準体重×25-30というやり方もありますが。

 

標準体重の計算ですが、

身長(m)×身長(m)×22で求めることができます。

身長170cmの人であれば1.7×1.7×22=63.58(kg)

これに25〜30をかけると、1589〜1907kcalです。

 

ここでもう一つ、大事なこと。摂取カロリーは除脂肪体重×30はとるようにしてください。除脂肪体重とは体重から脂肪を除いたもの(そのまんま)です。

例えば体重60kg 体脂肪率25%であれば除脂肪体重は45kgですから、45×30=1350kcalは最低限とるようにということです。今流行りの糖質を減らすダイエットで失敗する人のありがちな失敗の原因は摂取カロリーが減りすぎてしまうことです。

人体は糖質、脂質、タンパク質の順にエネルギーとして使います。まずつかわれる糖質を制限することで脂質の消費を促す、いいかえれば脂肪を減らしやすくするねらいが糖質制限ダイエットですが、エネルギー不足はタンパク質、すなわち筋肉の分解も促してしまいますので気をつけましょう。

 

無理なダイエットはホルモンバランスの悪化、女性では月経異常なども招きますし、いわゆるスキニーファットやサルコペニア肥満と呼ばれる見た目普通だけど脂肪多い人になりやすくなります。

適度な筋肉があるほうが見た目も美しいです。

 

これまで申し上げました、炭水化物、脂質、タンパク質の3大栄養素のバランスと摂取カロリー計算に基づいた食事に加え、筋力トレーニングをおすすめしたいのですが、これはまた今度。ちなみに最も効率よく筋肉を増やすにはスクワット、とくにバーベルスクワットがベストです。

 

最後に

マクロ栄養法に基づいた3大栄養素の摂取のバランスを考えて食事すること

簡易的なカロリー摂取目標値計算

最低限とらなければ行けないカロリー(除脂肪体重×30)

についてお話しました。

 

ビタミンなどについては言及していませんが、せっかくタンパク質を多く摂るならばビタミンB群も摂取して筋肉を増やしやすい食事をしてみてはいかがですか?(鶏ささみはビタミンB6が少ないので緑黄色野菜との摂取がオススメです。)

 

またタンパク質メインの食事は食事誘導性熱産生DIT(diet induced thermogenesis)のこともあり、減量に向いています。

 

と、いうことで本日はこのへんで。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございます。