脳外科医もつの日常

30代、中堅?脳神経外科医の日々のつぶやき。医療、プライベート、趣味など気ままに書いていきます。

医学部生のOSCE(オスキー)対策授業をやって

(2018年2月4日更新)

 

こんにちは。

 

昨日は学生さんにOSCE対策の授業をしていました。

今年度のオスキーは2018年1月13日、もう2ヶ月をきっていますね。

 

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OSCEって何?

で、OSCEって何?ってなるわけですが、正式にはObjective Stractured Clinical Examinationといいます。その頭文字をとってOSCE(オスキー)ですね。そのまま訳すと客観的臨床能力試験ということになります。

 

医学部は通常1〜4年で一般教養・基礎医学臨床医学を座学でまなび、5年生から病院実習が始まるのですが、その病院実習前に行われます。

獣医学部、薬学部、歯学部でもあるそうですね。

医学部のOSCEの評価項目は医療面接、胸部診察、呼吸音聴診、神経診察、救急、頭頚部診察、バイタルサイン等です。

 

私は毎年神経診察を担当しています。

本来は医師免許がない学生はできないのですが、本試験は医学部の実習において患者さんに医療行為を許可する理由みたいなものです。

CBTというパソコン画面で行う試験とセットになっており、OSCEとCBTの両方を合格した場合は「学生医」として、実習するのです。

 

OSCEの実際

試験対策の授業を行うにあたり、診察の注意点など説明するわけですが、OSCEの試験の性質上、その制度は問題にならず、「やっているフリ」で大体OKとなります。

テキストがあり、そのチェックポイントを満足しているかで採点します。

例えば、患者の痛みなどに配慮ができるかということで、聴診器を患者の肌に当てる際「聴診器が冷たいかもしれません」と言うか、腹部の触診の際は患者の足を曲げてから行うなど。

実臨床とはギャップがありますね。

 

試験当日、学生さんは一日のなかで各セクションをほぼ休みなく周り、制限時間内で与えられた課題を行います。そして試験管はそれを評価するのです。

 

実際の試験当日の患者役は受験する学生さんの後輩がボランティアでしてくれることが多いです。一日中患者さん役でベッドの上に寝ているとか、よくがんばるなぁと感心してしまいます。患者役の学生さんも自分が将来行う試験の雰囲気がわかるというのがメリットでしょうか。しかしながら模擬患者役のボランティアの体力面を考えると今後もスピーディーに試験をしなければなりませんし、試験日を増やすことはなかなか難しい気がします。

 

本番での学生さんの様子

タイマーが学生さんも見える状態で行います。

患者さんを触るときに手指消毒でアルコールも準備されていますが、緊張からかアルコールを手に出しすぎてしまい、いつまでたってもアルコールが乾かないし、その間時間は無くなっていく…そして受験学生さんもどんどん汗をかいて焦り始めるという。

その他、いろいろとNGもありますが、この場では控えておきます。

 

 

OSCEの対策は?

やはり、愚直にテキストを復習することだと思います。

学生に配布されるOSCEのテキストには評価項目も記載されているので、それにのっとって他の学生さんと患者役・医師役で練習するのがいいと思います。

裏技もヤマカケもありません。答えはテキストにありますので、それをやればいいのです。多くの大学はOSCEで学生さんを落とすこともしないでしょうし、試験管の立場がからすると学生さんを落とす理由を作るほうが面倒ですから。

ただ今後advanced OSCEという臨床実習後のOSCEが採用されるので、そうなるともう少し厳格な審査になりそうです。

 

 

最後に

我々の時代は、学生の間のならったこと、国家試験の勉強が現場では役に立たないと言われました。

確かにそれも否定はできません。

学内の卒業試験が毎週あり、その中で国家試験の勉強や就職活動をする6年生は大変だと思いますし、試験をパスすることに特化した勉強になってしますことがしかたないと思います。

 

国家試験レベルの知識の学生さんが、研修医になり、彼らをどう育てていくかが我々の使命だと思っています。書類審査や面接程度でダイヤモンドは誰もわかりません。医学部を出たみんなが原石であり、それがダイヤモンドになるかどうかは我々にかかっているんだと…そういう気持ちで今後も教育面でも頑張っていきたいものです。

 

昨今、社会人の賃金が上昇傾向にあるなか、国の制作で医療サービスの報酬は引き下げられ、それに付随して医療職の給料も下がることが懸念されています。

現代風に言えばコスパが決していいとは言えない職業ですが、賃金では測れない充実感やAIの導入などによりライフスタイルに合わせた働き方も今後は少しずつ出来るようになると思いますので、希望を持って現場に来ていただきたいと思っています。

 

医療制度も、学生を取り巻く医学部の環境も過渡期でありますが、なるべくいい方向に進んでいってほしいものですね。

 

 

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motsutaro.hatenablog.com