血をサラサラにする薬を飲んでるご高齢の方、胃薬も飲んでますか?
こんちには。
今回は少し真面目な内容です。
下記の論文はランセットという非常に有名な雑誌なのですが、
Age-specific risks, severity, time course, and outcome of bleeding on long-term antiplatelet treatment after vascular events: a population-based cohort study.
http://Lancet. 2017 Jul 29;390(10093):490-499. doi: 10.1016/S0140-6736(17)30770-5. Epub 2017 Jun 13.
要旨としては、
・心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気の再発予防で主にアスピリン(商品名はバファリン、バイアスピリンなど)という薬を内服している方を追跡していったところ、3166人中405人に初発の出血イベントがおこり、そのうち40%が上部消化管出血だった。
・75歳以上になると大出血は増大(75歳未満の3倍のリスク)
・障害もしくは死亡に至る上部消化管出血は、75歳以上で60%、75歳未満で25%
・上部消化管大出血での死亡は上記のうち45例で、頭蓋内出血の18例よりも大幅に多かった。
だったようです。
論文の図のうち、1つだけ抜粋しますと、
上記のグラフを見ていただくとわかりますが、歳をとるにつれ、血をサラサラにする薬を内服している人の出血イベントは右肩あがりですね。とくに赤い折れ線は入院が必要な出血ですが、85歳を超えると年間7%です。
我々脳神経外科医は脳梗塞の患者さんの再発予防に血をさらさらにする薬を処方しますが、上記のように出血リスクの高い人は胃薬も合わせて処方しています。
ちなみにこの論文は英国のもので、胃薬内服は3割だったようです。
しかし、アスピリン75mg腸溶錠を使用した例が大部分であり、容量や規格(心筋梗塞や脳梗塞の予防では100mgです)、そして他の血をさらさらにする薬を飲んでいる人には当てはまらない可能性があります。
そして、日本人など東洋人は欧米人よりも少なくとも脳卒中に関しては出血が多いと言われていますので、人種差も考慮すべきかと思います。
年齢が75歳以上だけでなく、上部消化管出血の既往、肝臓が悪い、アルコールをたくさん飲む、血液疾患がある(白血病など)などの場合も胃薬の内服については確認してもいいかと思います。
血をさらさらにする薬飲んでいる人全例に胃薬というのは医療経済的にも疑問はありますし、胃薬にも副作用はでることがあります。患者さんに応じてリスクと利益の評価を数年単位でしながら適否を検討するのがいいのではと思います。
少しむずかしい内容だったかもしれません。
つまり、
高齢(75歳以上)や消化管出血の既往のある方、その他血が止まりにくくなりそうな素因のある方は、血をさらさらにする薬を飲んでいるならば胃薬も飲みましょう。
です。胃薬はPPIと呼ばれるものがいいですね。詳しくは直接話ができる主治医や近所の開業医の先生にご相談ください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
芸能人の眠剤服用後の運転、その報道から考えること
ここ最近のニュースといえば、政治家の不用意な発言、築地の豊洲移転問題、そして異常なまでに増えた芸能人の不倫報道でありますが、私としてあえて取り上げたい話題は、これ。
http://www.sankei.com/affairs/amp/170905/afr1709050021-a.html
お笑い芸人インパルス堤下さんの事故のことです。
書類送検だそうで。起訴されてないので、前科にはなりませんが、前歴にはなってしまいますね。
どちらも一般的に我々が用いる薬です。ベルソムラは比較的新しい薬、レンドルミンは昔からありますね。
どちらも添付文書上は
不眠症で用いる場合は、就眠の直前に内服すること
と明記されています。
まず、そこが間違えているのと、抗アレルギー薬の服用もされているということで抗アレルギー薬、もっぱら抗ヒスタミン薬の副作用である眠気も合わせてきてしまったというところなのでしょうか。
はっきり言って、全然イケてないんですけど、こういう間違いって氷山の一角だと思うんです。
今日も終日外来をやってきましたが、患者さんで処方通り規則正しく薬を使用している人ってどれくらいいるのでしょう?
もちろん、しっかりやっている人もいらっしゃいますが、飲み忘れって少なくないですよね?
そして、飲み合わせも。
例えば一部の抗生物質は乳製品との飲み合わせが良くなかったり、上記の眠剤関係はアルコールと相性が良くありません。
はじめは覚えていても、段々と常用してくるとその内服の注意点などは忘れてしまうかもしれませんね。
我々も外来で患者さんにちゃんと飲めているかどうかとサラッと聞くだけでなく、患者さんが自分の飲む薬の正しい飲み方を認識しているか、確認する必要も出てくるのかもしれません。
ただ、毎回こういう事をしていると外来の時間は足りなくなってしまいますので、薬局あたりでやってくれないかなーと内心感じていますが💦
さて、ちょっと余談です。
今回、堤下さんも交通事故を起こしているわけですが、
我々が救急で交通事故で運ばれた患者さんを診るとき、想定すべき原因は6つのSです。
Stroke 脳卒中
Sleep 睡眠(居眠り)
Seizure 発作(てんかんなど)
Suger 砂糖つまり低血糖
Sake 酒
そして、最後は、
Suicide 自殺
です。シートベルトをしていない、ブレーキ痕がないなどの現場とかですね。そういう診断に必要な情報は救急隊の方が本当にしっかりやってくれていますのでいつも助かっています。
堤下さんの原因はSleep(居眠り)でした。
Sake(酒)など無理矢理な感じも少ししますが、覚えられれば良しということで。
あっ、再来週の学生さんの授業の準備もそろそろしなければ。ちなみに今回の内容は全然関係ないです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
病院の外国人外来患者の受け入れと意思疎通の問題
今回は
病院の8割、外国人の外来患者受け入れ…日本語で意思疎通「困難」65%
(2017.9.1読売新聞より)リンクが下記です。
以下本文引用
「2015年度に外国人患者を受け入れた全国の医療機関は、外来患者で79.7%、入院患者では58.5%に上ることが、厚生労働省の調査で分かった。
外国人旅行者が急増し、受け入れ態勢の整備が求められている。
受け入れ実績があった医療機関のうち、日本語でのコミュニケーションが難しい患者がいたと答えたのは65.3%。こうした患者への対応に使った言語(複数回答)は、英語が56.8%で最も多く、次いで中国語が26.6%、日本語も26.0%となった。一方、医師と患者などの意思疎通を手助けする医療通訳を使ったことがあるのは12.7%だった。
調査は昨年10~12月、救急患者を受け入れる病院など3761病院を対象に実施し、1710病院が回答した(回答率45.5%)。」
このように外国人観光客は2012年から右肩あがりでして、東京オリンピックまではこの傾向はつづくと思われます。
私も病院に勤務していおりますが、まず自分も含めて英語が話せる病院スタッフが少ないですね。今は関東の病院に勤務しておりますが、通訳スタッフも少ない印象です。
私の地元浜松市ではブラジル人が多く、ポルトガル語の通訳の方が外来にいて、日本語が困難な方は通訳を交えながら診察を行っておりました。
外来はまだしも、入院中はとても大変ですね。英語はまだ良いのですが、それ以外の原語となると手術や検査の同意をとるのも一苦労です。
早急な対応としては書類や呼びたしの画面等の多言語化はのぞまれますが、きっと良い方法があったらすぐ実践されていますよね?
Google翻訳など通訳機器の向上がなんとなく一番早い気がしますが。
私の中で印象的だったのは銀座の薬局に行ったとき、外国人観光客がおそらく自分の症状を店員につたえ、それに応じて店員が市販の薬を紹介していた場面に遭遇したことです。
下手な医者に相談してイマイチな薬を処方してもらうより効果の広い市販薬の方がよく効く・・・なんていうのはよく言われることですが(笑)
医師免許のない店員がそんなことをしているのは不安ですが、こういうことが実は外国人観光客を陰ながら支えてくれていることは認識しないといけませんし、反省材料として改善がのぞまれるところだと考えます。
外国人受け入れ可能な医療機関の明確化はもちろんのこと、今後ますます増加する外国人観光客患者に備えて、より安心して日本を楽しんていただけるように課題は沢山ありますね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
医師の時間外労働に関する記事を読んで、文句が言いたくなりました。
前回は「脳外科少ない!悲しい・・・」という話だったので、今回は私の経験も交えながら時間外労働について書いてみたいと思います。
こんな記事があります。
googleで「勤務医 時間外労働」と検索するとすぐにでてきます。
この記事につきましてははてなブログ内で他の先生も論じていらっしゃることから同じような内容はさけたいと思いますが、率直な感想としては、
時間外労働60時間?普通でしょ。
アンケートの回収率16%は低すぎる、データの信頼性に疑問
一番時間外労働が多いのが救急医?なんで?
ということですかね。
これがですねー、また勤務先によってマジックがあるのです。
私が働いたことのある病院では
17-19時一律手当でまとめられていて、時間外労働として申請できるのは19時以降というルールのところがあったり、また時間外申請しても部長のチェックがなければ給料に反映されないというところがありました。
赴任前に院長やお世話になる科に挨拶にいくことがあるのですが、そこでは「時間外労働が月100時間を超えたら院長面談」と言われていて、赴任初日から3日間で時間外労働40時間いきましたよ(笑)院長面談ですか?一回もなかったです。
◯月1日(金)8:30-17:00オリエンテーション(カルテ操作、名札の写真撮影など)。23:00 呼び出し → 手術 帰宅できずそのまま◯月2日8:30から日当直。◯月3日夕方帰宅。
とかね。その月は時間外労働 200時間いきましたが翌月の給料明細では時間外労働23時間となっていました。 23時間ですよ!!
またあるときは
月 7:30出勤、そのまま当直
火 予定12時間手術 (帰宅は翌日朝3時)
水 8時からカンファレンス、当直
木 予定18時間手術 (帰宅は翌日朝5時)
金 7:30出勤、当直
土 時間外呼び出し(緊急手術5時間含む) 実労働7時間
日 午前に担当患者回診
↑こんなときもありました。この1週間で時間外労働は80時間超えです。
さて上記の1週間で何が問題か。
寝る時間は平日計10時間くらいだったんですけど、そもそもオーバーワークです。
として毎回当直明けに大きな手術に入る。当時は若手だったので長い手術の執刀になりませんでしたが、こんなの続けてたら壊れてしまいます。そして患者さんとしても上記のような医師に診てもらいたいと思うでしょうか。
大学病院勤務のときは非常勤職員扱い(日給13000円です)で時間外労働もつかず、3日に1回以上は当直でしたし、冠婚葬祭と娘の出産時以外はほぼ休んだことありませんでしたね。
若手が時間外の手術、緊急カテーテルに呼ばれるので、ほぼ毎日病院から連絡ありましたね。大学病院若手時代の給料を働いた時間で換算したら、時給1000円ですよ、震えます。
働かないで給料泥棒のような先生もいますが、概して医師はみんな私生活もそれなりに削りながら時間外労働もがんばっています。
上記アンケートを集計して喜んでいるお役所の方々、医師は高給取りだのクレームをつけるような方も、1週間くらい我々と一緒に働いてみてはいかがでしょう?♪
60時間で済むなら、だいぶハッピーです。
時間外を月50時間以内にするとお国は決めましたが、やれるものならやってください。不利益を一番受けるのは誰か…。
そして前回の続きになりましが、心筋梗塞・脳卒中など突然発症し命を脅かす病気の担い手がどんどん減っているなか、地方から治療難民が増える時代もそう遠くはないかもしれないですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
学会懇親会の話題の背景にある、脳外科不足、それ以上の医療崩壊への不安
学会から帰ってまいりました。地方学会ですが、それなりに充実していました。
残念だったのは以前シャツのコラムでも書きましたが、クールビズを意識して透けにくいオックスフォードシャツの半袖で行ったら会場の空調が強くて寒かったです。
今週末も都内ですが発表がまたあるので、服装はよく考えたいと思います。
さて、学会というと、楽しみの一つが懇親会であります。
今回は会場となったホテルの中のスペースに飲食+ドリンクコーナーが作られまして(大体ホテルビュッフェにお酒がでるイメージです)、地元の名物などを楽しみつつ学会でしか普段なかなか会うことのできない他大学の先生方とお話することができました。
そこで話題になるのは発表内容もそうですが、入局者問題です。総じて「うちは誰もいないよ・・・」といった暗い話題になるのですが。
さて入局者の説明の前に医師の所属について説明しなければなりません。
一般的に常勤医には2つの所属形態があります。
1つはその勤務先の病院に籍がある場合と医局に籍がある場合です。
同じ病院にいる医師でもその病院の所属と、医局の人事で派遣されている場合があります。それぞれのメリット・デメリットなどはここでは述べませんが、最近は制度の過渡期でありまして医局人事よりになりつつあるようです。私も大学医局に属しております。
初期研修の2年間が終了したあと、病院所属として専門を決めるか、大学医局に属していくかという選択を研修医2年目ですることになるのですが、医局も人が増えなければ関連病院のポストを維持できませんし、病院所属医師に比べ流動的に人事を運べますのでおそらく医師不足の地域など地方は医局人事が大事になると思うのです。病院所属の形態だけだと都心や大病院など人気のあるところしか医師が増えないことになりますので。
話は戻ります。
これは厚労省のHPからだったかな?各科の人数の推移がでているページがありますが、外科系の人気の下降がすごいです。現在はもっと顕著です。
医師の人気はまだまだ根強いですが、その中でも
時間外労働、裁判などのリスク、体力面、私生活の充実など外科系はどうしても総じて内科より大変であるという状況が続いています。
「医師は聖職だから」とか「医師は公僕」だ、なんて言うのは時代遅れなのでしょう。
学生さんや研修医の先生も、いわゆるキツイ科には進もうとはしないのです。
そんな中、脳神経外科はまさにそのキツさにおいては心臓血管外科とトップ争いをするくらいかもしれませんが(体育系強すぎる職場の整形外科もキツイですが)、年々志望者は減っています。
知ってますか?
3大疾病、がん、心臓病、脳卒中のうち脳卒中の大部分を担っているのは脳神経外科と神経内科、地域によってはほぼ脳神経外科であるということを。
今後ますます脳外科減少傾向が進めば、脳卒中診療は破綻します。
日本の医師の給料は常勤医であれば、卒業年度と役職で基本給が決まり、その他は当直と時間外労働、アルバイトです。
仕事の大変さ、病院への利益貢献度、裁判などのリスクは考慮されていません。しかも人が多く、時間外労働の少ない科ほどアルバイトができるため、結果的に給料も高くなるという事実。
そりゃあ、なかなか脳外科なんてなりたがらないですよ。
そんなこんなで、全国的に脳外科志望者は減少しており、我々は非常に不安を抱えております。学会懇親会で、その胸に秘めた不安な気持ちを誰かと共有したくなるわけです。
しかし、、、
今後高齢化、2025年問題を前に診療報酬の引き下げなど、ざっくりいうと病院が儲からなくなるように保健点数も改変されます。さらには消費税引き上げにより消耗品など物品購入のコストも増えることとなります。保険診療の限りでは診療行為の値段も国しか決められませんので、診療は薄利多売、人件費などコストカットを積極的に行わなければならなくなるでしょう。しかも今後時間外労働も制限されるという。ますます医療者の労働環境も悪くなるばかりか、時間のかかる手術も制限されるかもしれません。
具体的には腹腔鏡の手術は術後の痛みや傷のあとも少なく患者さんにとって有益なことがいっぱいあるわけですが、開腹よりも時間と手間がかかるため、腹腔鏡でやっていたものが開腹手術になるかもしれません。これは極論的ですが、あくまで可能性のひとつとしてありえるということです。
いずれにしても病院そのものだけでなく、医療従事者の労働環境の悪化、最終的には病院破綻など地域医療の崩壊の危険性すらはらんでいます。
そうやってきたのは国ですが、いずれそのツケは国民にまわってくるかもしれませんね。
暗い話になってしまいましたが。
来年の診療報酬改定はとても興味があります。透析医療、在宅などそれ次第では大変になる可能性もありますので、開業も慎重に。
ところで、アメリカに住んでいる私の先輩は出産で800万円だったそうです。日本は40万円くらいですか?
もちろん保険に入ってたので800万円は払ってないみたいですよ、でも家族1人あたり毎月5万円が保険に消えているそうです。
そう考えると日本はなんて素敵な国だ!そう思うかもしれませんね。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
筋トレ、栄養学好きの脳外科医がダイエットを語る、その1
今回はダイエットについてです。
様々なダイエットが横行しておりますが、糖質制限ダイエットに関しては未だに賛否が分かれるところですし、高タンパク質食を追求しすぎて死亡した例もあるようです。、
後者はたまたま代謝異常のある方だったみたいですが。
私が外勤で行っている病院は透析がメインのところでして、そこの腎臓内科の先生からするとプロテインのような高タンパク食は腎臓に負担をかけると言っています。確かにかなりきつく蛋白質を制限すると、そこの患者さんの中には腎機能が良くなる方もいらっしゃいますし、おっしゃることもわかります。
そうは行っても私も筋トレをしているのでプロテインはやめられませんが(笑)
ライザップの糖質制限については、実際に通っていたわけではないので、そんなに批判をする気はありませんがハイボリュームトレーニングをする場合、糖質を制限してどこまでトレーニング効率が上がるかは疑問です。
短期間で痩せるのが目的ですので、それでもいいのかもしれませんね。
ライザップのようなものがきっかけで栄養に関する知識が増えるのはとても賛成です。栄養に関する知識は一生モノですからね!
しかしながら、日本食は糖質がそもそも多いです。煮物にも砂糖を使うことが多いですし、みりんや醤油にも糖質はあるんです。
糖質不足でも、体はケトン体というのを作って体を動かす仕組みはあるのですが。
ケトジェニックダイエットをするには結構シビアな糖質制限が必要です。長期間の場合、子供の場合は発達に影響もでるといわれてます。
成長期のお子さんには勧められません。
ただ、我々脳神経外科ではてんかんの患者さんには治療の一環として糖質制限を勧める場合があります。
ケトン食療法、修正アトキンス療法などと検索していただければ詳しくでてくると思いますので興味ある方は是非。
話を戻します。
私も実践していますが、外来の患者さんにはマクロ管理法をお勧めしています。
三大栄養素 炭水化物、蛋白質、脂肪のバランスを変える方法です。
そもそも筋トレをしている方は、トレーニング後の糖質摂取は筋肉を大きくするのを助けてくれるインスリン分泌には必要ですので、きつい糖質制限はお勧めできません。私もプロテインに蜂蜜など糖質を追加したものも飲んでいます。
さて、マクロ管理法ですが
手順1)基礎代謝を図る:
手順2)活動量により必要カロリー量を決める。
手順3)決められたタンパク質、炭水化物、脂質の割合になるように一日摂取する
・タンパク質は体重1kgあたり2g
・脂質は一日のカロリーの1/4
・上記の残りのカロリーを炭水化物でとる
※タンパク質、炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalとして各栄養素のグラム数を計算しましょう。
ということです。
手順1)基礎代謝量計算
基礎代謝は厚生労働省の方法、ハリスベネディクトの式などいろいろあります。そんなに変わらないのでどの方法でもかまいません。基礎代謝を計算してくれるホームページを活用するのもいいですね。
★私は下記の計算式を好んで使用しています。
男性 10×体重(kg)+6.25×身長(cm)ー5×年齢(歳)+5
女性 10×体重(kg)+6.25×身長(cm)ー5×年齢(歳)ー161
SNSで有名なTeststeron氏の著書にも上記で書いてありますね。
手順2)一日の消費カロリーおよび目標摂取カロリー計算
厚生労働省や日本医師会のHPにもでていますが、年齢により若干変わりますので大まかに、下記で計算すれば少なくとも数字が大きくなりすぎることはないと思います。
事務仕事をしている人:基礎代謝×1.25−1.5
けっこう運動している人:基礎代謝×1.5−1.75
くらいでどうでしょうか。
摂取カロリー目標につきましては、手順2で計算した消費カロリーに応じて下記のごとく決めます。
減量 → (消費カロリー計算値)×0.8
維持 → (消費カロリー計算値)×1.0
増量 → (消費カロリー計算値)×1.2
手順3)マクロ栄養比を計算する
ここは例にとるほうがわかりやすいと思います。
例:30歳男性、身長170cm、体重67kg、営業職(活動量はまずまず) ダイエット目的の場合
手順1)
基礎代謝=10×67(kg)+6.25×170(cm)ー5×30(歳)+5=1587.5(kcal)
手順2)
消費カロリー目安は1587.5×1.5=2373.75kcal
ダイエット目的のため、2373.75×0.8=1,899kcal(目標カロリー)
手順3)
・タンパク質は体重×2ですので67×2=134g (カロリーは134×4=536kcal)
・脂質は目標カロリーの1/4、つまり475kcal分ですので475÷9=52.7g
・糖質は目標カロリーからタンパク質と脂質のカロリーの引いた分ですので、
1899ー536ー475=888kcal グラム数は222
…ということで タンパク質134g、炭水化物222g、脂質52.7gとなるように一日食べでばよいのです。
が、結構面倒くさいですね。
しかもこれだと少しカロリーはおおいのかなーという気も実はしていまして、
実際、私は外来ではざっくりとダイエットしたいなら基礎代謝×1〜1.2までにカロリーを抑えるといっています。これだけ説明してなんだよーって感じですね(すいません。)ほかには標準体重×25-30というやり方もありますが。
標準体重の計算ですが、
身長(m)×身長(m)×22で求めることができます。
身長170cmの人であれば1.7×1.7×22=63.58(kg)
これに25〜30をかけると、1589〜1907kcalです。
ここでもう一つ、大事なこと。摂取カロリーは除脂肪体重×30はとるようにしてください。除脂肪体重とは体重から脂肪を除いたもの(そのまんま)です。
例えば体重60kg 体脂肪率25%であれば除脂肪体重は45kgですから、45×30=1350kcalは最低限とるようにということです。今流行りの糖質を減らすダイエットで失敗する人のありがちな失敗の原因は摂取カロリーが減りすぎてしまうことです。
人体は糖質、脂質、タンパク質の順にエネルギーとして使います。まずつかわれる糖質を制限することで脂質の消費を促す、いいかえれば脂肪を減らしやすくするねらいが糖質制限ダイエットですが、エネルギー不足はタンパク質、すなわち筋肉の分解も促してしまいますので気をつけましょう。
無理なダイエットはホルモンバランスの悪化、女性では月経異常なども招きますし、いわゆるスキニーファットやサルコペニア肥満と呼ばれる見た目普通だけど脂肪多い人になりやすくなります。
適度な筋肉があるほうが見た目も美しいです。
これまで申し上げました、炭水化物、脂質、タンパク質の3大栄養素のバランスと摂取カロリー計算に基づいた食事に加え、筋力トレーニングをおすすめしたいのですが、これはまた今度。ちなみに最も効率よく筋肉を増やすにはスクワット、とくにバーベルスクワットがベストです。
最後に
マクロ栄養法に基づいた3大栄養素の摂取のバランスを考えて食事すること
簡易的なカロリー摂取目標値計算
最低限とらなければ行けないカロリー(除脂肪体重×30)
についてお話しました。
ビタミンなどについては言及していませんが、せっかくタンパク質を多く摂るならばビタミンB群も摂取して筋肉を増やしやすい食事をしてみてはいかがですか?(鶏ささみはビタミンB6が少ないので緑黄色野菜との摂取がオススメです。)
またタンパク質メインの食事は食事誘導性熱産生DIT(diet induced thermogenesis)のこともあり、減量に向いています。
と、いうことで本日はこのへんで。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
コードブルー 第4話の感想、脳外科的視点
更新が遅くなりました。コードブルーの先週の話、今更ですが。
ネタバレ嫌な方はいつも通りここでやめてください。
少年が首に尖ったもの刺さってましたね。
(すいません、何が刺さったのか自分もそのへんは当直中でよく観ていません)
外傷性動脈瘤ができていましたね。
頭の中に血液を送るメインの血管は4本あります。頸動脈(正しくは内頸動脈)と椎骨動脈が左右で計2本ずつあります。2本の椎骨動脈はと途中で合流し脳底動脈という一本の血管になります。そのあとまた二股に分かれ後大脳動脈となるわけです。後大脳動脈には後交通動脈という血管があり、それが同じ側の内頸動脈を結んでいます。ですから、脳内の太い血管は前交通動脈で左右の内頸動脈を、後交通動脈で同じ側の内頸動脈と後大脳動脈を結んでおり、ちょうど輪になっているので、どこかの血管がダメになっても脳の血流を保とうとする構造があるんです。
コードブルーの患者さんですが
確かに前交通動脈を介して反対側からの血流はなさそうですが、若い人は椎骨動脈から後交通動脈を介した血流もあるしなー…なんてね。
もう少し血流の評価してもいいんじゃないかと思います、正直いいますと。
しかしながら、今回の外傷性内頸動脈瘤は、我々脳神経外科ではなかなか珍しい症例で、研修医の名取先生(Hey!Say!JUMP有岡くん)がスラスラと答えてましたが、はっきりいって専門医前の若手脳神経外科の先生も、試験勉強してなければあんなに答えられないんじゃないかなーと思います。
そして、その症例で、首の内頸動脈の確保や腕の血管(橈骨動脈)を使ったバイパスも、若手だけでやることはないと思うんですよねー。
ドラマだからといえばそうなんですけど、結構手術の内容としては高度なことやってますよよ。。。
そして、話は変わって終わりに小脳腫瘍の女の子が痙攣している(?)場面がありましたねー。
小脳腫瘍ではあまり痙攣はないのと、それだけ頭の圧が高くなっているなら意識もあやしいんですが…。医学生は、あの光景をあまり鵜呑みにしないようにといいたいですね。
話は少し変わります。橘先生の息子さんが吐血していました。
ストレスからの消化管潰瘍が原因だそうで、これはよくあるといいますか、大事ですね。
頭の病気も実はストレス性の胃潰瘍などは起こりやすいのです。胃薬を患者さんに使います。
特に脳梗塞の場合は治療に血をサラサラにする薬(抗血栓薬)を使いますが、胃潰瘍で吐血すると血が止まりにくくなりますし、これにより血液が減ってしまい血圧が下がり、頭の血流が悪くなることでさらに脳梗塞を作ってしまうことがあります。
橘先生の息子さん(ユウスケくん」もおそらく抗血栓薬を使っていたと思いますので、胃薬はもちろん使用していたでしょうし。
入院患者、特に集中治療室患者のストレス性消化管潰瘍は大事ですので、これは研修医の先生や学生も抑えておきたいところでしょう。
今度の学生さんの試験問題にも採用するのもいいですね。
えーと、一般の方向けのポイントは、
血をサラサラにする薬は副作用に消化管潰瘍があるため、胃薬とセットで処方することが多い
というところでしょうか。
では、今回はこの辺で。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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