脳外科医もつの日常

30代、中堅?脳神経外科医の日々のつぶやき。医療、プライベート、趣味など気ままに書いていきます。

コードブルーはじまりましたね!〜現役医師の感想〜

私が若手医師だったときに一世を風靡した人気医療ドラマの続編が始まりました。

 

山ピーは脳外科医ですか。

そんなかっこいい脳神経外科医がいたらいいですよね、うんうん。

 

私も病棟メインでやっていたころは外傷や脳卒中などでよく呼ばれていました。懐かしいです、当時が。

 

で、脳神経外科というと当直では外科系か神経当直(おもに脳卒中系を診る専門当直)であることが多いわけで、特に野戦病院では外科系当直で研修医の先生と重症外傷の診察など行っていまいた。

 

ここからは一部ネタバレになってしまいますので、みたくない人はここでやめてください。

 

 

 

 

一般的に医療系ドラマは我々からするとツッコミどころが多く、

ドラマであった錐体骨髄膜腫のcombined petrosal approach(コンバインド ペトローザル アプローチ)なんていうのは脳外科手術のなかでちゃんとできる人は全国に何人いるんだろうというレベルの超難しい手術法で、「舌下神経管の開放…」なんていうセリフもありましたが、おそらく脳神経外科医で専門医でない先生からすると「what?」というような内容です。山ピーらは非専門医の設定ですから、普通はそんなにわからないんですけど…そこはドラマですからね。いいですね、頭蓋的外科手術がわかる若手、しかもイケメン、実際いたらそりゃあ看護師さんに人気ですわ(嫉妬)

 

で、話は変わりますが

 

屋外で子供にドリルで頭に孔をあけて血を抜く場面がありましたね。これはなかなか頭部CTなしで行うのは勇気がいるなと…。私も、手術室ではなく救急外来で緊急で同様の処置をしたことはありますが。

あれ、ドリル使っていると頭が動いて孔開けにくいので、できればその場にいるフライトナース(比嘉愛未)さんには頭の固定も少ししてもらえると…なんてこれ以上専門的に話すとひきそうですのでこの辺で。

 

しかーっし!!

 

良くない点として、失敗した点滴の針は床に捨ててはいけない!診察や処置、手術はマスクしましょう。太っているからと言って妊婦を見逃してはいけません。そして、研修医の先生も自尊心がありますから、そこを傷つけないようにコミュニケーションをとりながらテンパらないように指導医がフォローするべきですね。まあ、ドラマが進む中で段々とそういうところが改善していくシナリオになりそうですが。

 

いずれにしても、医師も人間でして、マルチタスクはミスの元です。

自分のキャパ以上の仕事を抱えると、どこかに無理が生じてしまいます。

上級医は個々の実力やメンタルなども考慮しながらタスクの適正配分が大事です。

これは医療現場に限らず、その他の管理職の方も同じでしょう。

 

 

 

 

色々と実際の現場との差異はありますが、将来の進路を考えている人や実際の医療系の学生さんにも楽しめるドラマではないでしょうか。

私の周りではガッキー萌えがすごいのですが、あんな人はみたことありません。概して、女医さんは図太いです…ホント。(こんなこと言うと、いつか撃たれそうだな)

 

 

救急医は大事ですが、脳神経外科医や心臓血管外科医は外科系のなかでホントに人手不足甚だしいので、ドラマではぜひ脳外科的なかっこいい場面をつくっていただいて脳外科志望が増えることを制作側には期待したいと思います。(個人的に)

 

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

 

熱中症が流行る時期〜汗をかきにくくなる薬について〜

暑い日が続いています。いかがお過ごしでしょうか。私の家は3DKですが、エアコンが1つしかなく、これ1台で部屋すべてをカバーするのがそもそも無理なのですが、サーキュレーターなどの力を借りながら室内のクーリングに努めています。

 

さて今回は熱中症の多い夏に気をつけたいこと、汗をかきにくくなる薬についてです。

 

効能として汗を抑えるというのではなく、いわゆる副作用での発汗障害ということになります。

私の専門領域ではてんかん片頭痛の患者さんに処方する薬のなかに含まれますが、

 

エクセグラン と トピナ という薬です。

 

これらは両方共抗てんかん薬というものでてんかんの患者さんに使用することが多いのですが、前者はパーキンソン病に、後者は片頭痛にも使用します。

 

両方とも実は副作用に発汗障害があります。

 

患者さんは「体に熱がこもる」というような訴えをされますので、やはり汗をかきにくくなるためではと思います。

 

私はこれらを飲んでいる方には今の時期、熱中症に気をつけるよう念押ししています。

 

そもそもなんで処方するんだと言われそうですが、やはり効くからなんですよね。

てんかん患者さんに関しては、以前まで単剤で処方できる薬としてエクセグランはいろんな先生がよく使用していたでしょうし。(今は他の薬がありますので、第一選択で処方する機会は減りました)

 

ただご高齢の方には注意しています。この2つの薬ですが、食欲がなくなり体重が減ってしまう方がいらっしゃるからです。発汗障害、食欲低下どちらも高齢の方では気をつけなければなりません。

 

しかし、若い方にはこの副作用が逆に好まれることがあるのです。汗をかかなくなる、痩せる(食欲低下により)ということで女性の忍容性が良い印象もあるのです。

 

てんかん薬は、他の薬にくらべ副作用や飲み合わせに気をつけなければなりませんし我々神経系の専門医出ない場合は安易に出すべきではないと思います。(そもそもてんかんの診断は社会的制約を強いるとこになりますので神経の専門医でなければ行うべきではないと考えます。)

副作用に関しては個人差があります。

エクセグランやトピナを使用していても全員が汗をかきにくくなるわけではありません。

 

 

 

 

患者さんのライフスタイルに合わせながら、副作用も味方につける そんなうまい投薬ができれば幸いです。

 

適度な水分摂取と体温管理をしっかりして、自分の健康を守り、暑い夏を乗り切りましょう!!

 

 

※最後に

薬は正しい使い方をしなければ毒です。

とくにてんかんに対して使用する場合は長い付き合いになりますから、発作を抑えることはもちろんですが、副作用で生活の質が下がらないようにしなければなりません。副作用が気になる方は早めに主治医に相談しましょう。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

 

 

尿酸値が高い…でもお酒が飲みたい人へ 〜私が検診で話すこと〜

 

検診をしていると、よく愛飲家の人から「先生、お酒はどれくらいなら飲んでいいですか?」と聞かれます。ほどよい飲酒量に関してはまた別の機会にお話するとして、今回は尿酸値について私が検診で患者さんに話していることを簡単に記載したいと思います。

 

よくあるケースでは尿酸値の高い方。いわゆる「ビールは控えましょう」という話。

ビールはプリン体が多いから、尿酸値が上がりやすい…といいますが、実は食事に含まれるプリン体の方が全然多いですから!!

 

ビール100mlあたりのプリン体の量は5-11mg。

100gあたりで言えばレバーは200-300mgありますよ。

なぜビールばかり悪者になるかというと、やはり量を多く飲むからですよね。中ジョッキを何杯も飲む方もいますし。

 

確かにビールはお酒の中では比較的プリン体は多く、そして摂取量が多くなりやすいとう点では尿酸値が他のお酒に比べ上がりやすいかもしれませんが、プリン体の少ない食事と付き合えばそんなに問題はないと思います。野菜、豆腐、チーズあたりはプリン体が少ないのでお酒のお供にオススメです。

 

 

 

<<高尿酸血症痛風治療に関して>>

ガイドラインも出ていますが、簡単にいいますと、

 ・症状がある → 薬

 ・痛風発作になったことがある → 薬

 ・痛風発作がない場合

   A)尿酸値 8.0mg/dl未満 → 生活指導

   B)尿酸値 8.0mg/dl未満 → 高血圧、肥満、糖尿病など他に合併疾患ある → 薬

 ・尿酸値 9.0mg/dl以上 → 薬

 

お薬に関してですが、

痛みがある場合はまずは痛みをとることが大事で、ロキソニンなどの痛み止めやステロイドを使います。そして痛みが落ち着いてから尿酸値を低くするお薬を使います。

尿酸値を低くするお薬には①尿酸を作りにくくする薬と、②尿酸を体の外に出すのを助ける薬があります。

代表的な商品としては、

①にはザイロリック、フェブリクなど

②にはベネシッド、ユリノームなど

になります。使い分けに関してですが、尿酸結石や腎機能が悪い人は①を使用します。また痛風の方は尿が酸性であることが多く、これが結石をできやすくするため、②を使用する場合は尿をアルカリにするウラリットという薬を併用します。

 

最近、私の外来では①を処方している患者さんが多いですね。

 

最後に生活習慣に関してですが、コーヒー、乳製品、ビタミンCは痛風発生抑制作用がありますし、水分を多く摂ることは尿酸を排出するのに効果的です。(2リットル以上?とも言われています)。逆に、高タンパク食、過度の無酸素運動は尿酸値を上昇させますので、

 

日頃からビールをよく飲み、筋トレを好み、プロテインを毎日欠かさず、減量期は水分制限もするような…まさに私のような人間はリスクの塊です。

 

健康意識が高いように思える、酒好き筋トレマニアは逆に危ないことがありますので、自分も含めて気をつけなければいけませんね。

 

痛風はとっても痛いので我慢せず医療機関を受診しましょう。そして暑い夏はビールが美味しい季節ですので、楽しくお酒と付き合っていきましょう。(自分にも言ってます)

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

肥満とは?私が外来で勧めているダダでずぐ実践できるダイエット

 肥満とは何か?その指標は?なぜ太るのか?そういったことをまず理解することが減量には大事ですよね。

前半は肥満の適宜、指標の話。後半にやせるためのちょっとしたコツについて話していきたいと思います。

 

 さて、私はつきに2回外来をやっています。1つは常勤の病院での脳神経外科外来、もう一つは外勤先での脳神経外科・内科・外科・検診の外来です。

外勤先も名目上は脳神経外科ですが、小児・産婦以外は大体診させてもらっています。

いまは検診シーズンで検診結果をききにくる患者さんが多い時期です。

 

 検診では採血、血圧、心電図、胸部レントゲンの他、男性でがPSAという前立腺がんのマーカー、眼底検査などを行います。もちろん検査項目は年齢や希望などで変わります。

 

 また、検診を受ける人が記載するアンケートには一日の運動や飲酒量、喫煙量などの記載箇所もあり、時間がるときはなるべく細かいところまでみるようにしています。

 

 検診表にはボディー・マス・インデックス Body Mass Index(BMI)と呼ばれる項目があります。

これは体重[kg]/(身長[m])2で算出され、標準は22、それを下回るほど痩せていると言え、逆に25をこえると肥満となります。

たとえは 体重60Kg、身長170cmの方は

 60/1.7/1.7=20.76ということで標準の22に比べやや痩せている

となるわけです。

 

 ちなみに日本肥満学会によりますと

 「肥満症の診断基準 診断基準の骨子は、従来の肥満症診断基準を基にして新診断基準を検討しようというもので ある。すなわち、従来の基準はBMI ≧25 で 11 の肥満関連疾患(耐糖能障害、脂質異常症、 高血圧、高尿酸血症痛風、冠動脈疾患、脳梗塞脂肪肝、月経異常及び妊娠合併症、睡眠時 無呼吸症候群・肥満低換気症候群、整形外科的疾患、肥満関連腎臓病)のうち 1 つ以上の健康 障害を合併するか、またはBMI ≧25 で男女共にCTで測定した内臓脂肪面積が≧100cm2を有 する場合を肥満症と定義している。

 とあります。

 

 ですが、検診でこられる方をみていますと、見た目にさほど太っているように見えない方でもBMI>25は結構いらっしゃいますし、みなさんが「スタイルが良い」と思う芸能人のモデルさんたちは公開プロフィールをみますにBMIは18程度やそれを下回る人が大勢います。

 

 痩せすぎはよくないです。専門医としての立場から申し上げますと、女性の場合は生理不順になりやすいです。概して痩せている人は筋肉もすくないので、筋量を増やすといいと思います。痩せている人もじつはサルコペニア肥満・・・なんでことも。

 

 話題を戻しますが、

 

痩せているよりは多少太っている方が長生きできるという意見もありますので、何事もほどほどがいいのでしょう。

 

ちなみに肥満は肥満でも、BMIが35を超えてきますと手術の際に麻酔で加算がつきますで、全身麻酔の値段が高くなります。

別の言い方をすればそれくらい太っていると全身麻酔も管理が難しくなってくる、危険が増えるともとれますので、ここまでいかないように気をつけましょう。

ちなみにBMI 35の体重は身長170cm、160cmの方でそれぞれ101kgと89.6kgです。あまり日本人にはいません。

 

さらに言えば世界保健機構(WHO)が定める病的肥満はBMI40です。

 

ここまでの強者は検診では月に1人もいらっしゃいません。

 

 

 

さて、ようやく本題です。

満腹感は食事をして20分くらいしないと得られません。

太っている人は概して早食いなのです。

 噛む回数が少ない

 左手にお茶碗を常に持ち、口の中にものが入っている状態で次に口に入れるものを箸で探している…

心当たりありませんか?

 

そんな人に有効なのは、箸置きを用意することです。

口の中に食べ物を入れたら、箸を起き、30回以上噛んでから飲み込みましょう。

それを習慣化するのに箸置きは効果的です。

もちろん箸置きでなくても、茶碗の上でもかまいませんが。

 

一口に30回以上噛むようにすると、結構疲れます。今まで食べていた量が食べられなくなるかもしれません。それでいいのです。

 

事実、箸置きを使う習慣のない若者にはあまりウケはよくありませんが、中年以降の方のなかには熱心に取り組み、たったこれだけで体重が減り、血圧やコレステロール値など改善する方も少なくありません。

 

太り理由は稀に遺伝や病気、薬剤の影響ありますが、ほとんどの方は

摂取カロリー>消費カロリー

の状態です。

肥満は万病のもと。

 

読んで下さった方の参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

プロフィール

静岡県出身、30代男性、脳神経外科医のもつです。

脳神経外科専門医としての臨床業務と、大学院生としての研究をこなす日々。

今までずっと出身地である静岡県に住んでいましたが、仕事の都合で現在埼玉県で妻子と暮らしています。

車通勤しかしてこなかった私ですが、こちらにきて電車通勤にも大分なれてきました。

 

現在は、小さい子をもつパパをしながら臨床・研究。教育と医師としてそれなりに充実した毎日を過ごしています。

 

このブログでは、医師の家族の日常(普通です)、仕事のふとしたぼやき、専門医としての病気に関することなど内容を充実させていきたいと思っています。

 

どうぞよろしくお願いいたします。